福岡MPオフィスの松股です。
昨年の5月ですが、株価や長期金利が急上昇したことによって、住宅ローンの金利も
上がるのではと噂されていた時期、テレビ局から連絡がありました。
内容は、夕方のニュースで住宅ローンの今後の金利についての報道をしたいから、
専門家としての意見を取材させてほしいとのことでした。
収録は放送の前日に行われました。
当社にテレビカメラが入り、記者によるインタビュー形式で、撮影が進行しました。
そのときの動画が、今でもテレビ局のホームページ内に残っています。
http://www.kbc.co.jp/movie/index.html?id=689
約20分ほどインタビューを受けました。
その中から実際に放送された私の解説シーンは、1分少々の短い時間でしたが
それは私が消費者に向けて本当に言いたいこととは異なるシーンが使われました。
動画の中で、私はこのように語っています。
「長期金利がこのまま上がり続ければ、その後追いで短期金利(変動金利の指標)も
上がる可能性は十分にあります。」
まるで、変動金利で返済中の視聴者の不安を煽るような言い方です。
しかし実際のインタビューは以下のような内容でした。
記者「最近の金利上昇傾向によって、変動金利で返済中の多くの方が不安を感じています。
この先、金利はどうなるのでしょうか?」
私 「今上昇しているのは長期金利であって、これは固定金利の指標となります。
変動金利は日銀の政策金利を指標としていますので、今の上昇傾向は変動金利には
影響しません。
そして日銀は金融緩和策を発表しているので、政策金利が上がるということは
当面考えられません。
長期金利もそのうち下がるよう、日銀が買いオペレーション(日銀が国債を
大量に買うこと)を行うことが考えられます。
よって固定金利は今後引下げられるでしょうし、変動金利は今の状態が当面続くと
思います。」
記者「昨日取材をした方は0.975%の変動金利で返済中ですが、この先に不安を感じ、
固定金利への借り換えも視野に入れているようですが」
私 「0.975%が適用されているのなら、今は固定金利への借り換えは絶対にしては
いけません。固定金利に切り替えると、適用金利が1%以上上がり、当然返済額も
アップします。元金も減りにくくなります。
たとえ安倍総理が目標としている2%の物価上昇率を達成したとしても、0.975%の
金利が今の固定金利に追いつくことは考えにくいです。
だから0.975%の金利で返済中の方には、今のままにしておくことをお勧めします。」
私がそのように語ると、記者の表情に少々の異変を感じました。
このままではテレビ局が意図する番組にならないと思ったのでしょうか?
そこでインタビューの終盤で、このようなやり取りがありました。
記者「今後変動金利が上がるとすれば、その背景にはどのようなことが考えられますか?」
私 「将来、中小企業労働者の賃金が上がるくらい景気が上向くと、変動金利の上昇も
考えられます。
しかし今の政府や日銀の対策を見ると、変動金利の上昇は当面考えられません。
ましてや銀行は積極的に変動金利をすすめています。銀行にとっては変動金利で
借りてもらうことがリスク回避になるからです。
最近の調査結果では、約7割以上の方が変動金利で借りています。
もしも将来変動金利が上昇、しかもバブル期みたいな大きな上昇幅があった場合、
住宅ローンを払えない、いわゆる住宅ローン難民が続出します。
そうならないように政府や銀行が対策をとるので、変動金利は上がりにくいのです。」
記者「もう一度お伺いします。どのような状況になれば変動金利は上がりますか?」
そこで私が答えたのが前述の内容で、その場面が実際の放送に使われたのでした。
どうもマスコミは、消費者に不安を感じさせるような報道を優先させたいようです。
当事者になって初めてわかった出来事でした。
だから私は変動金利のお客様に対して、将来金利動向に関するニュースを見ても、
あまり鵜呑みにしないでくださいと言っています。
同時期にNHKが同様の特集を組み、深田晶子という著名なファイナンシャルプランナーが
解説をしていました。
著書やコラムで従来から変動金利に否定的な彼女は、しきりに固定金利への切り替えを
推奨していました。
あれからちょうど1年、長期金利は下がり、変動金利はなんら変化がありません。
世界的な金融情勢からみてもこの状況は当面続くでしょう。
今回は、今だから言える「ニュースの真実」についてのお話しでした。
【7/8 追記】
このようなブログを見つけました。
これも今回のブログに関連する「報道の真実(裏側)」だと思います。
http://ameblo.jp/usinawaretatoki/entry-11890180534.html
コメントをお書きください