福岡MPオフィスの松股です。
最近、お客様や住宅業者様から「ネット銀行の変動金利が下がっていますね」と言われることがあります。
それについて今回のブログで書きます。
結論から言います。
「基準金利は」と書きました。
先述のお客様や住宅業者様が言ったのは「適用金利」のことだからです。
ここで「基準金利」と「適用金利」について説明します。
基準金利 = 定価
適用金利 = ディスカウント価格
と、お考えください。
「基準金利」からいくらかの金利割引をした結果の金利を「適用金利」と言います。
ただし金利割引のためには条件がつくことがあります。
・住宅ローンの返済口座を給与振込先口座にすること
・住宅ローンの返済用口座を公共料金の引落とし口座にすること
・住宅購入の資金計画の中で自己資金を○○%以上いれること
これらのような条件がついて「適用金利」が決まることがよくあります。
たしかに最近、適用金利を引下げたネット銀行はあります。
ただしどこも、基準金利はそのままで割引幅を拡大し、適用金利を引下げているのです。
例えば住信SBIネット銀行です。
現在はこのようになっています。
ちなみに2年前はこうでした。
お分かりのように、基準金利からの引下げ幅が大きくなっています。
2年前と現在の基準金利の比較が次の画像です。
日銀のマイナス金利導入によって固定金利の基準金利は下がっていますが、変動金利の基準金利は全く変わっていないことがお分かりいただけると思います。
新生銀行も同様です。
銀行はなぜ適用金利を下げて、基準金利を下げないのでしょうか?
ひとつは、変動金利の指標である政策金利に変化がないからです。
変動金利は、固定金利のように長期金利(新発国債10年もの)を指標とはしていません。
よってマイナス金利の影響で一時期長期金利が下がりましたが、変動金利はなんら変わらないのです。
もうひとつは、銀行は過去のお客様よりもこれからのお客様の取り込みを重視しているからです。
基準金利を引下げれば、過去に借りて返済中のお客様の金利も引下げることになります。
過去に変動金利で借りたお客様が多ければ多いほど、銀行にとっては大きな損失となるのです。
8月の長期金利の上昇により、フラット35を筆頭にほとんどの銀行で9月の固定金利が引き上げられました。
しかし変動金利が上がることは、まだまだ考えにくい状況といえます。
逆に変動金利の基準金利が今以上に下がることも、可能性は低いでしょう。
今でも多くの方が変動金利を選択しています。
まだ当面は基準金利の上昇はないでしょうが、変動金利で返済中の方は、日頃から預金の積立をしておくなど、リスク回避への備えをしてくことをお勧めします。
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