福岡MPオフィスの松股です。
国土交通省が毎年「民間住宅ローンの実態に関する調査」を行っていますが、平成28年度の調査結果について、今回から数回に分けてお話していきます。
調査結果報告書の中に「審査項目」というページがあります。
融資審査の際にどのような項目を考慮しているかについて、調査結果をランキング形式にしているものです。
画像を載せたいところですが、著作物の問題があったらいけないので、私が作り直した表を載せます。
なお、この表の画像をクリックすれば、調査結果の現物(PDF)が表示されますので、その中の18ページをご参照ください。
私個人としては、この順位には大いに疑問があります。
国土交通省がどのような調査方法で実施しているのか、知りたいくらいです。
まず1位は「完済時年齢」です。
この調査結果を長年見ていますが、毎年「完済時年齢」がトップです。
たしかにどの住宅ローンにも、完済時年齢は79歳までとか81歳までという規定はあります。
しかし規定を超えての借入年数を希望する申込者様はほとんどいません。
ただし完済時年齢ぎりぎりまでの借入年数を希望する申込者様は何人もいます。
(例)申込み時に47歳の方が32年返済を希望する
しかし完済時年齢が規定ぎりぎりだからといって、それが原因で審査が難航したことはほとんどありません。
私が付き合っている多くの金融機関は、むしろ3位の「借入時年齢」を厳しく見る傾向があります。
特に借入時年齢が50歳を超えると定年退職までの年数が短いことを理由に、厳しく審査する金融機関もあります。
よって私の実務経験では「完済時年齢」よりも「借入時年齢」の方を重視されるケースが多いのです。
そして2位は「健康状態」です。
たしかに多くの金融機関では、団体信用生命保険に加入できないと住宅ローンの借入ができないという規定があります。
しかし団体信用生命保険の審査をするのは保険会社です。
金融機関が審査する際に考慮する項目ではありません。
よってこのランキング、しかも2位に位置しているのは大いに疑問です。
今回なぜこの話題に触れたのかというと、住宅ローンの実務経験がない方の著書やコラムの中で、審査に関する項目の中では、必ずと言っていいほどこの調査結果が引用されているからです。
まず今回は3位までについてお話しましたが、以降数回に分けてこの件をブログに書いていきます。