福岡MPオフィスの松股です。
最近、山下さんという住宅ジャーナリストが、あるサイトで住宅ローンに関して消費者の不安を煽るだけの記事を連発しています。
そのうち今回は、9/19に掲載された記事について、述べていきます。
山下さんの住宅ローンに関する記事は、以前から全期間固定金利至上主義、変動金利や固定金利選択型については、少しでも可能性がある不安要素を強調して、消費者の不安を煽る傾向があります。
この記事でも全期間固定金利のフラット35を、変動金利について語る際の引き合いに出しています。
フラット35は全期間固定金利で確かに安心です。
昨年のマイナス金利導入以降、低金利が続いています。
しかしここに書かれている金利 1.08%は、あくまでも「購入価格に対して融資率9割以下」の方に対して適用される金利(2017年9月現在)です。
しかも団体信用生命保険に加入した場合、その保険料は年に1回の別払いです。
※3,000万円を借りた場合、初年度の保険料は107,400円もかかります。
※ただし今年10月から団体信用生命保険料は金利に上乗せのシステムがスタートします。
多くのジャーナリストに言えることですが、このようにフラット35の低い金利を引き合いに出す場合、①物件価格の1割以上と諸経費を自己資金で準備しないといけないこと、②これには団体信用生命保険料が含まれていないこと、その2点についてはほとんど説明されていません。
例えば物件価格が3,000万円であれば、諸経費と合わせて約500万円の自己資金が必要です。
※諸経費は購入物件の種類や仲介業者の有無、火災保険の掛け方などによって異なります。
しかし今のご時勢、それだけの自己資金を準備できる消費者がどれだけいるでしょうか?
こういういことを言うと「自己資金がないなら家を買うタイミングではない」という回答が返ってくるでしょうが、それは買う物件が新築・中古・一戸建・マンション、また借入者の年齢や属性によって、一概には断言出来ないのです。
また、このような文章もあります。
変動金利の未払い利息について書かれている箇所ですが、適用金利が2年で3%も上がるというのは、この上なく極端な事例です。
山下さんもその可能性は少ないと間接的に述べているものの、この続きの文章は金利が上がり続けた場合の支払額のシミュレーションを述べているので、ただ消費者の不安を増長させるだけの文章になっていることは否定できません。
こう言うと「バブルの頃を考えるとありえることだ」と言われそうですが、当時は団塊の世代の全盛期によって生産力が最も高い時期、一方これからは年代ごとに生産人口が減少、銀行もバブル時のようなずさんな融資は絶対にしない、よって私個人は「以前のようなバブルの再来はない。」と考えています。
私は業務で、住宅ローン取組者の金消契約に立ち会う機会が多く、金融機関の担当者が変動金利のリスクをどのように説明するかを毎回聞いています。
しかし未払い利息については、発生リスクはあるものの、その可能性はゼロに近いと説明する担当者がほとんどです。
以下は、記事の最後の文章です。
青枠の箇所については、私も変動金利を選択するお客様には毎回伝えています。
この部分は同意できる内容です。
ただし、赤枠部分については疑問が残ります。
ここまで変動金利のリスクを強調しておいて、なぜミックスプランの話になるのでしょうか?
これまでの記述からして、資金計画になぜ変動金利をからませるのでしょうか?
また、フラット35をA社で借りて、変動金利をB社で借りるということは出来ません。
ミックスプランを使えるのは、ほとんどが銀行です。
しかし多くの銀行は、フラット35の金利をノンバンクより高く設定しています。
(みずほ銀行のように、フラット35の金利をノンバンクの水準に合わせている銀行もありますが、それは少数です。)
また変動金利の借入割合によっては、最大の割引幅が適用されない銀行もあります。
よってミックスプランは、安易に提案できる手段とは言えないのです。
山下さんは8月にも「住宅ローン 『契約後の金利上昇』という落とし穴にハマる人」というタイトルで同様の記事を書いていましたが、一般消費者の方がこれらの記事の内容を鵜呑みにしないよう、切に願います。