福岡MPオフィスの松股です。
新型コロナ問題の先行きが読めず、多くの方々が今後の収入に不安を感じている中、3日前にこのような記事がありました。
「『地方銀行の崩壊』コロナが映す暗い未来予想図」
https://toyokeizai.net/articles/-/345562
ただしこの記事には大きな間違いがあります。
3ページ目の変動金利に関する記事です。
最初の下線部で、金利上昇の可能性について書かれています。
問題はその次の変動金利についてです。
「多くの住宅取得者が変動金利で借り入れています」→これは事実です。
ただし「この状況で金利が1%でも上がると、返済額が増えて、たちまち滞納が続出することでしょう」→ここが大きな間違いなのです。
国債の金利(長期金利)の動きが住宅ローンの金利に影響を与えるのは、10年固定金利や全期間固定金利です。
変動金利は長期金利の影響は直接受けず、政策金利の動きに影響されます。
だからリーマンショックで金利が下がった2009年初頭から現在まで、長期金利が上昇したりマイナス金利になったりしましたが、政策金利にはわずかな動きしかなかったため、どの金融機関も変動金利の基準金利はまったく変化がないのです。
もう一つ大きな間違いがあります。
「返済額が増えて、たちまち滞納が続出することでしょう」という記述です。
変動金利の返済額の見直しは5年に一度です。
適用金利が上がった場合でも、まだ見直しの時期でなければ同じ返済額の中で利息の割合が増えるだけです。
金利が上がったからといって、急に返済額が上がるものではありません。
仮に返済額の見直し時期が来て返済額が上がったとしても、元の返済額の1.25倍までというルールがあります。
よってたちまち滞納が続出するほど返済額が急激に大幅に上がることはないのです。
これは住宅ローンの仕組みを知っている人間であれば誰でも知っていることです。
筆者は本職が経営コンサルタントのようですが、この記事を読んだ人が一般の人であれば、この記事は専門家が書いたものだと思ってその内容を信じてしまいます。
新型コロナ問題で多くの人々が収入に不安を抱えている今の時期、このような誤った内容で読者の不安をあおる記事の掲載は、絶対に許されるものではないと私は思います。