福岡MPオフィスの松股です。
ネット上に住宅ローンの審査に関する記事やブログは数多くありますが、内容については信じてよいものとそうでないものとあります。
最近も新たな記事を見かけたので、それらの記事の信憑性についてお話しいたします。
※私の業務のテリトリーは主に福岡県内です。福岡県内の方がこの記事を見た場合の注意点について、主にお話しをいたします。
最近見かけたのは以下の記事です。
「住宅ローンの審査に通らない! 最終手段はある?」
住宅ローンの審査に通らない! 最終手段はある? | ファイナンシャルフィールド (financial-field.com)
筆者の新井智美さんという方はベテランのFP(ファンインシャルプランナー)のようで、住宅ローンに関する記事をよく見かけます。
プロフィールを見ると住宅ローンに関わる実務経験はなさそうですが、住宅ローンの仕組みや内容をよく研究されているようで、これから住宅ローンを取り組もうとする方には役立ちそうな記事が多いといえます。
ただし住宅ローンの審査に関する記事となると、実務経験がないからか、中には間違った表記、または読者に誤解を与える表記もあります。
例えばここです。
(1)
個人信用情報に事故情報が登録されている場合は審査に通らないと断言されていますが、福岡県内の地銀(保証会社)だと、事故になってしまった経緯を説明して審査する側に理解していただくことが出来れば、審査に通ることはあるのです。
事故情報として最近特に多いのが、スマホ本体代の分割払いのトラブルです。
大手携帯会社3社の中でも特にある1社の契約者にトラブルが多いのですが、最近は住宅ローンの審査をする側もその種のトラブルが増えていることを知っているようで、事情を説明すれば対応してくれるところも増えています。
新井智美さんは広島県内で活動をされているようなので、広島県内の金融機関だと事故情報の全てに対して厳しく対応しているのかもしれませんが、実務経験がないことから誰かに聞いたことをそのまま書かれている可能性が高いと思います。
このことに関しては、福岡県では事情が違うのです。
おそらく他の県でも福岡県と同様のところはあるのではないでしょうか?
この記事のように全国に向けて発信している場合は、地域ごとによって事情が異なることにも触れてほしいものです。
実務経験があれば、それが出来るはずです。
(2)
この記事に限らず、持病などの事情があって団体信用生命保険に加入できない場合はフラット35の検討をうながす記事をよく見かけます。
しかしこのようなケースでは「ワイド団信」にも触れてほしいものです。
「ワイド団信」はどの金融機関でも対応できるわけではありませんが、福岡県内には対応できる金融機関があります。
団信に不加入でフラット35を取り組んだら、返済途中にもしものことがあっても債務が残ります。
「ワイド団信」だと住宅ローンの適用金利が少し高くなりますが(福岡県内の某銀行ではプラス0.1~0.3%)、万が一に備えることが出来るのです。
(3)
「転職して間もない場合は審査に不利になるケースがある」のはその通りです。
フラット35は転職して数ヶ月でも申込みは受付可能だし、融資条件に「勤続年数1年以上」という規定があっても転職の経緯次第では転職後数ヶ月でも申込みを受け付ける金融機関もあります。
しかし審査に不利であることは否定できません。
でも「転職したら住宅ローンを申込むまで2~3年待った方がよい」のは大手都銀やネット銀行です。
地方銀行はその限りではなく、規定通り勤続年数が1年以上あれば、勤続年数の短さを理由に審査で落とされることはありません。
この欄についても、新井智美さんは誰かから聞いたか、本に書いてあったかなど、実務経験にもとづいていない記述であることは間違いありません。
(4)
この欄で明らかに間違っているのは1行目です。
住宅ローンを申込んだという情報は信用情報機関に6ヶ月間登録されますが、審査に落ちたという情報までは登録されません。
登録されているのは申込者の個人情報(氏名、生年月日、郵便番号、電話番号)、申込みを受け付けて信用情報の照会をした金融機関(保証会社)、照会した日付、申込み金額、支払い回数、申込み区分(住宅ローン)の情報です。
この欄では「一度住宅ローンの審査に落ちたら、次に申込むまで6ヶ月待ちましょう」と書かれていますが、これは明らかに間違っています。
金融機関によって審査の仕方は様々なので「A銀行では落ちたけどB銀行では通った」ということはよくあることなのです。
このことは実務経験がある方であれば、多くの方が知っていることです。
この欄も誰かから聞いたか、本か何かで見たことをそのまま書いたかとしか思えません。
このように住宅ローンに関して数多くの記事やブログを書いているFP(ファイナンシャルプランナー)でも、いざ審査に関することになれば読者に誤解を与えかねない表記がよく見られます。
一般の方がこのような記事を見かけた時、内容を信じる前に筆者のプロフィールを確認してください。
そして筆者に実務経験がない場合、人から聞いた話や本かネットで見たことをそのまま書いている欄があることに注意してほしいものです。