福岡MPオフィスの松股です。
携帯電話としてスマートフォン(スマホ)が主流となって、もう10数年になるでしょうか。
スマホの機能は日々進化して高額になっているため、ほとんどのユーザーがスマホ本体の代金を分割払いにしていることでしょう。
そして近年では、その周辺機器(アクセサリー)をスマホ本体とは別契約で分割払いにしているケースも見られます。
スマホ本体や周辺機器の分割払いはすべて、その契約内容や支払状況が個人信用情報として登録されているのですが、何らかの手違いでその信用情報にキズがつくことが以前からよくあります。
そしてそのような記録があると「住宅ローンの審査に通らない」ということにもつながってくるのです。
携帯会社による異動情報とはどういうものなのか、サンプル画像を使って説明します。
これは個人信用情報登録機関であるCIC(シーアイシー)という会社のデータです。
携帯会社名は伏せていますが、①を見ると携帯電話(スマホ)を分割払いでいつ購入したかなどが分かります。
そして②を見ると、分割払いの契約期間中に支払いの延滞があり、返済状況について「異動」という言葉で記録されています。
「異動」とは返済において61日以上または3ヶ月以上の延滞があったということを示しています。
よって返済状況にこの「異動」という言葉があることによって、申込者にはクレジット返済において長期の延滞があったと認識され、住宅ローン審査は非常に厳しくなってしまうのです。
では「このような情報登録があると住宅ローンの審査には絶対に通らないのか?」
答えは「NO」です。
銀行や保証会社によりますが、このような記録がついてしまった事情を説明して納得してもらえれば、審査に通った事例はいくつもあります。
ただしこのようなことがあったことについて事前に何も申告をせず、審査の段階で初めて発覚した場合は、ほぼ通りません。
また、フラット35やもともと審査が厳しいネット銀行や都市銀行なども、審査に通る可能性は非常に低いと言えます。
例えば先ほどの画像だと、不自然に思える点があります。
まず①では平成22年11月30日に46,000円を24回払いの契約内容であることが分かります。
次に③のところを見てください。
遅延発生日が平成23年12月1日なので契約から約1年後、支払いは32,000円ほど残っていたようですが、遅延解消日が令和3年4月11日と記載されているのです。
つまり32,000円の未払金額を回収するまで約10年もかかっているということになります。
普通だと考えにくい不自然な内容、原因は携帯ショップでの手続きの行き違いによることが多いようです。
契約者が未払いが生じていることにに気づかず、携帯会社からの連絡も長年放置されていた結果、このような情報登録がされていることが多いのです。
このように普通ならあり得ない不自然な内容の場合、なぜこのようになってしまったのかについて状況説明をすることで、審査する側の理解を得られれば審査に通ることがあるのです。
今回の事例では、支払いがされていなかった金額が32,000円です。
この金額であれば、多くの人の場合、これ以上の預金残高はどこかの口座に常にあると思います。
住宅ローンの審査の際、普通なら預金残高が分かる資料を提出することはありませんが、私がサポートをした同様の事案では、あえて預金通帳の記帳ページ(取引履歴)を提出して「これは手違いによるものであって、お金がなくて払えなかったわけではない」ことを説明して審査に通った事例もあります。
審査する側も、エビデンス付きでそのような説明をされることによって、状況を理解することもあるのです。
私のこれまでの住宅ローン手続サポート業務の中で、同様のケースの人のサポートを数多く行ってきました。
中には年収1,000万円以上でそれなりの金融資産を持ち、家計も何ら問題ない人もいました。
個人信用情報の問題点がそれだけで、他の登録情報に何ら問題がない場合は、申込みの仕方によって審査に通る望みが出てきます。
なお、何らかの手違いによって信用情報にキズが付くトラブルは、携帯会社の中でもある1社が群を抜いて多いと言えます。
これはショップ店員の教育や業務スキルに問題があるのでは、とも思えるほどです。
もしもこのような事例が原因で住宅ローンの審査に通らなかったとしても、問題点がこれのみであれば、あきらめるのはまだ早いと言えるでしょう。