福岡MPオフィスの松股です。
ここ数日で多くの企業が賃上げを公表してきたことから、日銀がいよいよマイナス金利解除に向けて動きそうです。
日銀は3月18日と19日に金融政策決定会合を開きますが、共同通信社が昨晩「日銀、マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定」との記事をネット上で掲載し、今日の新聞朝刊でもそのことが大きく取り上げられています。
マイナス金利政策が導入されたのが2016年2月16日、以来8年続いた日銀の政策がついに終わりを迎えようとしているのです。
マイナス金利が解除されると、住宅ローンの変動金利への影響が考えられます。
変動金利の動向は、これから住宅購入を考える人にとって気になるところでしょうし、今変動金利で返済中の人にとってはさらに気になるところだと言えるでしょう。
ここでは住宅ローンの変動金利の上昇・下降はどのようにして起こるのかについてお話しします。
変動金利は政策金利(現在はー0.1%)の動向によって影響を受けるのですが、政策金利が上昇したからといって必ずそれに連動して上昇するということではありません。
変動金利は政策金利ではなく、銀行の短期プライムレートの動向に連動するのです。
※短期プライムレートとは、銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利を「短期プライムレート」といいます。
銀行の短期プライムレートは政策金利の動向によって決められます。
これも必ず連動するというわけではありません。
あくまでも銀行が決める金利です。
参考までに2016年にマイナス金利政策が導入された時、政策金利は0%からー0.1%に下がったのですが短期プライムレートは下がりませんでした。
政策金利がどうなるのか(マイナス金利解除決定か)は、3月19日の金融政策決定会合後に発表されます。
その発表を受けて、銀行が短期プライムレートをどうするのか、上げるとすればどこまで上げるのかに注目したいところです。
政策金利の推移を見ると、過去の見直しでは上げる時も下げる時も0.2%、または0.1%と小幅に動いています。
マイナス金利解除にこれほど慎重になっていた日銀です。
日銀が今回マイナス金利解除の根拠としたのは、企業の賃上げ状況です。
しかしこれによって更なる景気回復につながるかはまだ分かりません。
よって今回の見直しは小幅な数値であると考えられます。
銀行の短期プライムレートも、2006年8月に0.3%引き上げた事例がありますが、それ以外は0.2%か0.1%程度の変動幅です。
よって銀行が今回短期プライムレートを引き上げるとしても、小幅な動きであることが考えられます。
そのことから短期プライムレートが上昇した場合、住宅ローンの変動金利は0.1%か0.2%ほど上がる可能性があると考えています。
記事によると「日銀はマイナス金利政策を解除した後も緩和的な金融環境を維持する方針」としています。
よってマイナス金利解除後はしばらく様子見、今後は上昇した賃金で経済がいかに回るかによって方針を決めるものと思われますが、更なる引き上げにはかなり慎重になることが考えられます。
それには大手企業だけではなく中小企業や非正規社員も含めた社会全体の賃金上昇がカギとなるでしょう。
私の個人的な見解としては、変動金利が今の固定金利と同水準になるには経済的な好材料が全く足りていないし、そのような状況になるのはかなりの時間がかかる、またはそのような状況にはならないかもしれない、と考えています。
今後の金利動向は、住宅ローンを利用してこれからマイホーム購入を考えている人や、現在変動金利で返済中の人には、とても悩ましいことだと思います。
固定金利もその指標となる長期金利が少し前までは0.6%台であったのが、小刻みに上昇して3月15日は0.785%にまで上がっています。
よって将来にわたって変動金利の上昇が心配な人は固定金利を選ぶでしょうし、返済額がある程度上がってもまだ経済的に余裕がある人の中には変動金利を選ぶ人もいるでしょう。
変動金利と固定金利のどちらが向いているかは借りる人の状況によって異なり、どちらが良いという絶対的な答えはありません。
家計状況やライフプラン(将来の子供の教育費など)によって、慎重に決めるよう心掛けてください。
なお現在変動金利で返済中で、今後が心配な人や固定金利への借り換えを考えている人は、以前私が専門家サイトで書いたコラムをご参考にしていただければと思います。
https://mbp-japan.com/fukuoka/fmp-office/column/5147978/