福岡MPオフィスの松股です。
1月23日・24日に日銀で金融政策決定会合が開催され、政策金利を0.25%引き上げることが発表されました。
これによって政策金利は現行の0.25%から0.50%となり、リーマンショック直前の金利水準に戻ることとなります。
政策金利の動向は住宅ローンの変動金利に影響するのですが、次回3月の金融政策決定会合で政策金利が引き下げられない限り、4月1日に基準金利が見直されて適用金利が上昇する可能性が非常に高いと言えます。
政策金利の引き上げについては、昨年3月の会合でマイナス金利の解除、7月の会合で0.25%に引き上げ、そして今回の引き上げと、この1年以内で3回目となります。
現在変動金利で住宅ローンを返済中の人の中には「この先の金利がどうなるのか不安」「固定金利に借り換えた方がよいかも」という人もいることでしょう。
住宅ローンの金利には「基準金利(店頭金利)」と「適用金利」の2種類があります。
借入者の内容(勤務先や年収など)や借りる銀行との取引状況によって、基準金利から割り引いて優遇した金利が適用金利で、これが実際の金利だと言えます。
ここからは福岡県内の主要銀行である福岡銀行と西日本シティ銀行を事例としてお話を進めます。
両行とも昨年10月1日に基準金利を0.15%引き上げ、11月には適用金利も0.15%引き上げました。
昨年10月より前に変動金利で借りた人の最初の適用金利は、以下のどれかだと思います。
①0.475%(借入時年齢が50歳以下で規定の年収基準を満たしていた場合)
②0.725%(①以外で融資手数料型で借りた場合)
③0.775%(①以外で保証料一括型で借りた場合)
④0.975%(①以外で保証料金利上乗せ型で借りた場合 など)
⑤1.175%(現在ほどの金利優遇がなかった時期に保証料金利上乗せ型で借りた場合 など)
⑥1.325%(10年以上前に現在ほどの金利優遇を受けられず保証料一括型で借りた場合)
⑦1.525%(⑥で保証料金利上乗せ型で借りた場合)
⑧それ以外(提携ローンによる優遇金利、保証料率が高い場合、がん団信適用 など)
固定金利(例:フラット35)への借り換えを検討するべきかどうかは、借入当初の金利が何%だったかがポイントになると言えるでしょう。
3月の金融政策決定会合で政策金利が変わらなければ、適用金利が0.25%ほど引き上げられるかもしれません。
なお金利の引き上げ幅は各銀行の判断なので、実際の引き上げ幅は現時点では分からないことをご承知おきください。
仮に0.25%引き上げられたとします。
【借入当初が先ほどの①の金利の場合】
0.475%から昨年10月に+0.15%、4月に+0.25%となれば、適用金利は0.875%となります。
フラット35で借り換えに適用される金利は1.86%(1月現在、借入期間21年以上)なので、まだ約1%ほどの金利差があります。
【借入当初が先ほどの⑦の金利の場合】
1.525%だったのが次回は1.925%まで上がり、今月のフラット35の金利を超えてしまう状況です。
エコノミストの中には、今年のうち、または来年には政策金利が1%まで上がるのではないかと予想している人もいます。
仮に1%となれば、先ほどの借入当初の金利が④⑤⑥⑦(場合によっては⑧)だと、今月のフラット35の金利を超えてしまう恐れがあります。
しかし政策金利が1%になるためには、労働者の手取り賃金上昇や為替相場など、国内経済におけるかなりの好材料が必要です。
個人的にはそこまで上がるにはハードルが高いのではと思っていますが、トランプ大統領の就任をはじめ、世界情勢をみると現時点ではまだ先が読みづらい状況です。
よって変動金利で返済を続けることに不安がある人、その中でも特に先ほどの④⑤⑥⑦(場合によっては⑧)の人は、固定金利への借り換えを検討するのではないかと思われます。
なお、先ほどフラット35の今月の金利が1.86%と言いましたが、これは借入期間が21年以上の場合です。
借入期間(今のローンの残期間)が20年以内であれば今月の金利で言えば1.47%なので、借り換えによってメリットがある人が増えるでしょう。
ただし借り換えには多額の諸費用がかかることに注意してください。
借り換えで新しく取り組む金額によりますが、諸費用として数十万円、または100万円を超える場合もあります。
借り換えを検討する場合は、かかる諸費用にも注意が必要です。
住宅ローンの変動金利は今後も上昇していく可能性があります。
安心できる固定金利への借り換えを検討する人はこれから増えていくことでしょう。
しかし固定金利の動向の指標となる長期金利は、昨年11月に1%を超えて以降ゆるやかに上昇を続け、1/24時点で1.24%となっています。
おそらく来月はフラット35の金利や各銀行の固定金利は上昇すると思われます。
よって固定金利への借り換えを検討する場合は、試算シミュレーションをするなど早めに動くことをおすすめします。